March 25, 2012

iPad活用法 ~ 医療業界の場合

新しいiPadを手に入れたところですが、そちらのレビューは既に出尽くしているので、iPadを活用した医療の話をご紹介します。












ちょと前のことになりますが、iPhoneやiPad、クラウドなどITを積極的に取り入れた医療環境の革新に取り組んでいらっしゃる神戸大学病院の杉本真樹先生とそのチームの皆さまがベイエリアを訪問中のところ、飲茶ランチをご一緒してお話する機会をいただきました。医療とテクノロジーの融合についてあれこれ話が盛り上がり、とても楽しい一時でした。メンバーが揃って飲茶のテーブルにいたところ、まず挨拶がわりにと杉本先生が鞄から取り出されたのが上の写真にある臓器の立体モデル。患者さんのCTから3Dプリンタを使い樹脂で作ったものだそうです。患者さんの臓器を「手にとって」手術前にシュミレーションをしたりすることができるようになり、臨場感のある練習が可能になります。臓器立体モデルの後に、プレゼントにいただいたのが杉本先生らの著書「新IT医療革命」。

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「新IT医療革命」に詳しく書かれていますが、杉本先生らチームの取り組みの中心は、iPadからクラウド上に保管されたデータを利用するところにあります。iPadは軽量で手軽に持ち運べ、バッテリーも長時間持続、起動時間も短いので、そこに患者さんのデータ(手術の記録、画像、血液検査の結果、入院中の生体情報など)を入れていおけば病院内でも出張医療であっても、すぐに参照することができます。アナログなデータの持ち運びやアクセスに時間がかかっていたところを省くことができ、緊急性のある現場でも大活躍するデバイスがiPadなのです。手術室にも手軽に持ち込め、キーボードがないので衛生面でも大きなメリットがあります(キーボードにはバイ菌が一杯で、病院でもそれがもとで感染が進むことも多いそうです)。

「新IT医療革命」では、ソフトバンクの孫さんと医師達の対談が中心に話が進みます。電子カルテというのはだいぶ前からできてきているそうですが、問題は規格が統一されていないことだといいます。その規格を国家が統一して「医療クラウド」なるものをつくればよいという考えには孫さんも強く同意しています。孫さん曰く、患者の情報が国家規格の医療クラウドに入っていれば、どこからでも自分の医療データにアクセスできる、「例えば、旅行先の岡山で事故に遭った。そのとき、普段の自分のかかりつけのお医者さんが持っている持病とかの情報を、その事故に遭った先のお医者さんが共有して見ることができれば、助かる確率が高まる」。高度なセキュリティのシステムに守られていれた「医療クラウド」にデータが保管されていればこうしたことが実現するのです。そして、事故現場や輸送期間中に活躍するのがiPadなどのモバイルでのデータ分析。一刻を争う現場ですぐにデータ分析を始めることができるのです。

なお、杉本先生は、医療用画像処理ソフト「OsiriX」(オザイリクス)の開発者の一人です。OsiriXのiPadアプリを利用して、CTスキャンから取り込んだ画像を見ながら手術を行う様子はこちらのビデオでも紹介さています。医療用画像といえば、DICOMがフォーマットとして標準なのですが、私は昔、DICOMメタデータ処理の機能を某著名画像処理ソフト用に実装したことがあり、こうしたソフトを見るのはその時を思い出してちょっとした感激がありました。



テクノロジーが医療の現場をどんどん進化させていき、ネット、iPadやそのアプリの普及によって誰でもその優れたサービスが手軽に利用できるようになってきたのはありがたいことです。Wifi体重計のことを以前書きましたが、日本に住む両親にもこの体重計をプレゼントしました。「今からコレに毎日乗る癖をつけておけば、遠距離からでも何かあったらわかるようになるからね。それに、テクノロジーを使う練習をすればボケ防止になるし。」と親孝行なのか嫌味なのかが微妙なコメントをつけて贈ったのですが、結構気に入って使ってくれているようです。Withingsには血圧測定器もあってそちらもプレゼントしたかったのですが、これはiPadかiPhoneがないと使えなく、iPhoneはもちろんiPadもまだ所有していない両親にはどうしようかなと思っていたところ新しいiPadを買ったので、お古のiPad2と一緒に送ったところです(サプライズでこっそりと)。両親とも「iPadなどいらん」と言っていたので、さてどうなることやら。